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inkインタビュー 株式会社Office T-Work 井村 尚嗣 氏

inkインタビュー 起業マインドを先輩経営者から学ぶ!!

inkインタビューとは、先輩経営者のエピソードを伺い、コロナ禍のような、誰もが予測しない困難が起こった時、どんな環境下でも、乗り越えていく、マインドを学びます。

 

株式会社Office T-Work 井村 尚嗣 氏

広島ホームテレビで30年勤務の経験を活かし、各種司会、ナレーション、番組やプロモーションビデオの企画・制作にいたるまで『映像コンテンツをワンストップで』幅広いニーズにお応えしていきます。

 

テレビ局のアナウンサーから独立まで

僕のことを広島ホームテレビのアナウンサーとしてご存じの方が多いとは思いません。レギュラー番組のMCとして毎日OAに顔出ししていたのはわずか4年ほど。「知ってるよ」という方はスポーツ好きの方がほとんどでしょう。元々はテレビのコンテンツが作りたい!制作現場に携わりたい!と思って、テレビ局を志望したんです。ちょうど久米宏さん司会のニュースステーションが始まった頃、縁あって広島へに来ることになりました(1986年)。久米さん・古舘さんには、アナウンサーとして随分鍛えられました。中でも印象深いのは、2000年の西鉄バスジャック事件ですね。ヘリコプターに乗り、ジャックされたバスを追いながらの生中継。夜通し、喋りっぱなし。あれは忘れられません。

管理職になりアナウンサーの現場とは距離を置くことになるのですが、そこでやっと「コンテンツ」が作れる立場になったんです。ネット系の部署の時は、Photoshopやillustratorを覚えました。広島ホームテレビ「地球派宣言」キャンペーンプロジェクトでは、番組の構成から台本まで全部自分でやるようになり、やっぱりコレだ!と思いました。その頃から独立を考え始めましたね。その後、コンサートや催事担当の事業部長に就任し、そこでは、「外注費は?」「損益分岐点はどう出すのか?」など経営や営業的なことを学び、着々と独立へ準備が進みました。早期退職の制度を使い、2016年に退社、開業しました。

 

独立のきっかけ【自分の声】

25年ほどアナウンサーをやってきましたが、著名なナレーターの方のように、短い時間で印象付けたり、番組で訴えるための「自分の声」は、なかなか見つけられてなかったんです。ただ、管理職になりアナウンサーを離れても、時々ナレーターなど読んだり喋ったりする機会はあったんですね。ある番組で「これは井村さんで!」と頼まれる機会があって、その時に試行錯誤しながらその番組のトーンに合わせて出してみた声が「あ、これだ!」と思えたんです。これなら「井村の声です」と言って一人歩きができるかもしれないと思いました。

 

ポートインクに導かれた【縁】

独立を意識し始めた頃から、どんな形が自分にとってベストか模索していました。テレビ局時代の担当番組で出会った方と番組終了後もずっと交流が続いていたんです。多くの学生を「起業」に導かれた川名和美さんという大学の先生です。久しぶりに会ったときにポートインクを知る方が同席されてて、そこで独立を考え始めたことを伝えたら、「ポートインク行ってみたら?」って紹介されて・・。すぐに見学に行きました。中島さんの応対がつれなくてねえ・・(笑)でも部屋を見せてもらったとき、窓があって、バーンと開けてて、気持ちのいい部屋だなと思って、入居を決めました。

他のシェアオフィスや、自分でどこか小さな物件を借りるという手もあったけど、ポートインクに「導いてもらった」感じがして・・今の部屋は、コンパクトで一人の自分には本当にちょうどいい。休みの日でも来てしまうくらい、今の空間がベストだと思っています。でも、会社としてやる以上、ここに甘んじてはいけないとも思っています。

これからについて【玉石混交の時代】

僕が働いてきたテレビの世界は「放送」。この2文字を逆さにすると「送りっ放し」とも読める、一方通行のメディアです。でも今は、受け身でなく、自分で情報を取りに行く時代。「伝える」ことに対しユーザーは目が肥えています。一方、発信側であるクライアント(企業や行政)の目は肥えてない。そこを教育というか、認識を変えていかねばならない状況だと思っています。良いもの、価格に見合うものは何なのか?例えば、この道50年のベテランカメラマンは、一流の機材じゃなく、その人の持つ一流の「技術や感性」を売っているんです。そこの認識をどうやって変えていくか、日々試行錯誤しているところです。

長い放送局勤務の経験の中で、いわゆるフリーランスのしゃべり手さんの『玉石混交』を目の当たりにしてきました。 「玉(宝石)」と「石」のレベルの違いは明らかなのに、世間は「プロ」という肩書ひとつで同列に扱う。この不公平感はとても大きいものです。自分が「石」に寄らないように気を付けつつ、「玉」の価値を上げるサポートができないか? と考えています。僕が番組制作の中で一番好きなのは最後の「音」の作業。その一番最後に命を吹き込むのがナレーション、「玉」の腕の見せ所なんです。その価値をもっと上げたいですね。

あと、将来的には「アナウンススクール」をやりたいと思っています。一対一の対面で行うようなものが理想です。マニュアル通りではなく、言葉が感情を持つような、技術は拙くても、なぜか残るものがある、人に「心」が伝わるものを習得するスクール。それもまた、目に見えない、数字に出来ない価値を高めることにつながるものと思います。

 

さすがにお話上手の井村さん。どのお話も目の前でありありと場面が展開されていくようでした。冗談を交えつつ、これナイショね!というお話も・・。一方で、何が「玉」なのか、見定める視線はとっても熱いものでした。

Information

株式会社Office T-Work

web t-work.expert
住所 広島市中区本川町三丁目1番5号