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inkインタビュー 株式会社櫟 代表取締役 兼田貴代氏

inkインタビュー 起業マインドを先輩経営者から学ぶ!!

inkインタビューとは、先輩経営者のエピソードを伺い、コロナ禍のような、誰もが予測しない困難が起こった時、どんな環境下でも、乗り越えていく、マインドを学びます。

 

株式会社櫟 代表取締役 兼田貴代氏

洋菓子(ワッフル・バームクーヘン・焼菓子等)の製造及び販売として広島県に4店舗あり女性を中心に大人気。

創業のきっかけについて

今、ちょうど27年なのですが、創業のきっかけはシンプルに身近な人に喜んでもらいたい。すごいね!と、ビックリ箱を開けたような皆が喜ぶ事がしたいと思っていました。最初は獣医を目指していたのですが家が貧しくて諦め、次の夢である飲食の道を目指す決意をしました。実は、1番最初にお寿司屋さんで修業したのです。その場所が大阪のミナミでした。当時はまだ「女性は厨房に入るな!」という様な厳しい中で過ごしていました。私は25歳でお店を持ちたいという夢があったのに、早く魚を触りたいのに触れなくて…。当時、何も分かっていない私は「早く厨房に入りたい!」と大将に猛反発したり…。挙句の果て、「そんなに言うなら…」と知り合いのフレンチのお店を紹介され、そこでデザートに携わるようになりました。そこからデザートサロンというデザート専門のお店に自分から行って、見た事もない技術を目の当たりにした事から給料無くてもいいから働きたいとお願いし、働くことになりました。その後は安いケーキを大量に作る工場でも働いてみたり…色々な経験をしました。



「櫟(くぬぎ)」という名前にはどんな意味が込められているのですか?

私はお店の名前も既に決めていました。「櫟」というのは「きへんに楽しいと書いて気楽に入れるお店」なのです。苦労したと思う事も全て経験値として活かせていて…。例えば、お寿司屋さんのシャリをベースにしたネタのバリエーション。それが、ワッフルの生地がベースでクリームがバリエーションなのです。手のひらサイズという事もお寿司・ワッフル一緒なのです。最初はワッフル10種盛り合わせというメニューを出したらお客様に「お寿司じゃないのだから」と突っ込まれて「10種詰め合わせ」に変えたのです。そんな風にお客様に育ててもらって今があるなと感じています。


商品についてとても楽しそうに話す兼田社長。社長のアイディアいつも凄いのです!と話す従業員さんが印象的でした。

ご家族の支えはとても大きいですか?

私の母はどんな時も明るく元気で周りの人たちを支えてくれていました…。母が亡くなった時、周りの方が泣いて…辞めたスタッフも皆集まってくれて泣いて…。そこで初めて知ったのです。あまりにも忙しすぎて日頃からスタッフの相談に乗れていない事を気にして母が皆の相談に乗ってくれていた事…。母が度々、二重焼きを買って各店舗に差し入れをして覗いていたことを…。そういう意味でも母の愛情は凄いなと…母のようになりたいなと…。私は死ぬときにお金を持って死にたいのではなく、何人泣かせて死ねるかが勝負だなと思って、それを目指そうと思うようになりました。実は、母が亡くなって売り上げが下がったのです。レジを見てみると1番お買い物をしていたのは母だった。現金出して購入していた事に気づかなくて…言ってくれたら広告費として使うか、従業員割引や家族割引など何かしら割引はしていたのに、まさか実の母がこんなに購入してくれていたなんて…。家族で安くしたのに…言わないのだと思って。本当に心からありがとうという気持ちです。母が突然亡くなる日の朝、母との最後になった会話は「お昼ご飯は、ちゃんと座って食べんちゃいよ」と言われたのですが、「そんなゆっくりしている暇はないよ」と冷たく答えた私に、さらに母は「貴女がそんな風にバタバタしていたらスタッフさんが社長に相談したくても、話しかけにくく相談事のタイミングも逃してしまうよ」と…「貴女がやらないといけないのは余裕を持つ事、自分が歩いた1歩1歩を振り返ってみたら、綺麗な花が咲いている位美しく歩みなさい」と…最後までそんな風に教えてくれたのも母でした。



 

 

広島で事業をする人に向けたメッセージをお願いします
やりたいと思ったことは何でも期日を決めてやっていく事。私も先輩から言われるのが、やってみてだめなら諦めるのもいいけど、それをもう少し伸ばして頑張ってみる。そこで判断する。結構、入り口ぐらいで諦めてしまう人も多いなと…。ただ、どこかで早い決断という事も必要だとは思います。やらずにいる事はもったいないな…。やりたいと思った事をやり続けてみる。その気持ちは大切かなと思います。

 

取材をした櫟 kunugi café 太田川店には沢山のリスやどんぐりが可愛く迎えてくれました。常連のお客様と「家族」のように接する姿を見て「櫟」に込められた想いを感じる時間。長く愛される空間を感じに是非「櫟」へ足を運んでみてください。